2ntブログ
「可愛いわ。エリカ。」
美咲は、赤い革の首輪をしてる私に言った。
美咲に可愛いと言われることが、何よりの幸せのように
感じる私は、もうどこか変だ。


カタカタコトコトコトコト・・・
お湯が沸く音がする。
「あッ!沸いた!」
美咲がパタパタとキッチンに行く。
あわててちょこっとつまずいて、「イテッ!」なーんて言ってる。
私とトオルは目を合わせて笑った。

「ねー。トオルぅ~ 今日はゆっくりしていけるんでしょう?」
キッチンから美咲の声。
「わりぃ!明日仕事なんだ。しかも早いんだよ。」
向こうで、カチャカチャとお茶の用意をしてる音が聞こえる。
しばらくして美咲がたっぷりと熱い紅茶を入れたティーポットを運んで来た。

「なーんだ。そうなの?!がっかり。」
「ゴメン。それ、ご馳走になったら帰るわ、俺。」
「せっかくエリカをお仕置きする所をもっといっぱい見てってもらおうと思ったのにな。」
「ははは! まぁ、またいつかな。
でも美咲の入れた紅茶は最高だから飲まないと損しちゃうから頂くよ。」
「うふふ。そうでしょ?!」

「ところで美咲、エリカにさっきおあづけにしたケーキ、食べさせてやれば?」
「あー。そうだった。忘れてた!」
美咲がペロッと舌を出す。
私は、むーーーっとほっぺたをふくらます。
あははははーー!!っと二人が笑う。

美咲は170cmにもうすぐ届きそうな勢いの背の高さだし、
トオルは180cmをゆうに越してると思う。
そして150cmちょいの私は、
年はそんなに違わないのに、まるで二人の子供みたいだ。

「良かったな。エリカ。ちゃんと言わないと美咲はすぐに忘れるからな。
ほら、風邪ひくから、これ着てから食べろ。」
トオルは裸のまま首輪の私に、近くにあったバスローブをかけてくれた。



「じゃ、そろそろ行くわ俺。ちょっと帰って調べものもしないといけないんだ。
美味しかったよ、紅茶、サンキュ~」
「うん。もっと居てくれたら、あとから車で送っていくつもりだったんだけど・・」
「あー いいよいいよ。」
「うん。今日は先生のとこの用事、手伝ってくれてありがとう。また何かあったらよろしく~!」
「~~ったく、調子いいなお前は。じゃあな、エリカ。いい子で美咲の言うこと聞くんだぞ^^美咲はエリカがいないと、生きていけないぐらいエリカが大好きなんだから^^」

「なーーによ、トオルったら。やーね。」
「ははは!だって本当だろ?でも俺がいなかったら、お前はそんな風にもなれないんだけどね!?」

トオルが美咲の頭をぽんぽんとする。

「もう、うるさいわネ。」
「愛してるぞ^^」
トオルはそう言って美咲にチューー!っと kissをした。

私は二人の会話の意味がちょっとわからなかったけれど、
まあ、いいや。
幸せな二人を見てるのは楽しいし幸せだ。


二人で玄関までトオルを見送ると、
「あ、エリカ。ケーキの残り、ゆっくり食べてて。私ちょっと2件仕事の電話すませちゃうから。」
と美咲がリビングを出て行き、自分の部屋にいった。

美咲とトオルは美大の時の同級生だ。
美咲は最近やっとコンスタントに入りはじめた雑誌のイラストの仕事で、けっこう忙しそうだ。

「食べたら、歯みがきしておくのよ!」
いきなりドアがあいて美咲が顔を出す。
やれやれ、これじゃ本当に子供扱いじゃない。参ったな。


歯磨きを終え、顔も洗ってタオルで拭いていると、
いきなり入ってきた美咲に、後ろから抱きしめられた。
鏡に映って恥ずかしい。

「前をちゃんと見て!!」


あっ・・ケーキを食べたりお喋りしていて、すっかり忘れてた!
そこに、赤い首輪をした私。
そして後ろから、しっかり捕まえられていた。



まだ続きます・・・

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